また、舟橋町長がいくら風評被害はないと言ってもそれは無理です。風評被害をなくする努力は大切ですが、安易に責任を口にすることにも無理があります。一たん放射能で汚染されれば、その影響は長期にわたります。そのためにも正確な情報が必要です。
町内11地区で行われた町政懇談会には、私も4会場参加しました。町政懇談会で多く出された不安、心配は、風評被害と内部被曝の問題です。これに対する当局の説明は一方的であり、
意見を述べた方が納得されたという印象はありません。「丁寧に説明する」というのは「説得する」にしか聞こえません。
確かに
立山町では、県内の他市町村から見れば議論が深まっていると思います。しかし、まだ心配する声を多く残したまま、なぜ瓦れき広域処理受け入れを急ぐのか疑問です。町民の
意見を把握するには、
住民投票が一番いいのではという声もあります。
いずれにしても、瓦れき受け入れの議論に当たって情報は隠さないことが一番大切です。
このことについて2つ
報告します。
1つは、搬出先の岩手県山田町の瓦れきを同じ岩手県の測定機関ではかった放射性セシウム濃度が、富山県では下限値を40ベクレルとしたため検出されなかったとし、静岡県では15.2と15.8ベクレル検出したと公表されています。この静岡県の測定値は今年2月実施され公表されているものです。これでは、富山県の検出されなかったという公表値が意図的であると疑われてしまいます。(拍手する者あり)
たとえ100ベクレル以下であっても、検出されれば原発事故による放射能が含まれているということです。
せっかく小数点以下まで計測できる測定装置を使用しているなら、今後は静岡県と同じ小数点以下までの測定値を隠さずに出すべきです。富山県の装置でも小数点以下まで測定できるはずです。
もう1つは、バグフィルターの性能についてです。
もともと一般ごみ焼却場では放射性廃棄物は焼却しないことになっていますが、環境省と富山地区広域圏クリーンセンターでは、バグフィルターの性能について資料に違いがあります。
環境省の資料では、「排ガス中のセシウムはバグフィルターで99.92から99.99%の除去率を確認しています」となっています。一方、富山地区広域圏クリーンセンターの資料では、「除去率99.8%」となっています。捕捉率は10倍以上の違いがあります。これについては、6月1日の全員協議会で説明資料として町から
提出された際、私が舟橋町長に念を押して確認したものです。
このクリーンセンターの資料は、バグフィルターの性能について、「1マイクロメートル以上の飛灰を除去する。除去率99.8%以上で大半が飛灰として回収」としています。これはつまり、見方を変えると、1マイクロメートルより小さいものはバグフィルターを通過する可能性を示しています。
したがって、もし仮に年間1万トンの木質瓦れきを岩手県山田町から受け入れた場合、クリーンセンターの煙突から放出される放射性セシウムは次のように計算されます。静岡県の公表値から推定すると、1キログラム当たり15ベクレルとして、放射性セシウムの総量は1億5,000万ベクレルとなります。バグフィルターを通過する量がそのうちの0.2%で、年間30万ベクレルが大気中に放出される計算になります。天候にもよりますが、クリーンセンター周辺の水田により多く蓄積する可能性があります。
環境省が安全としている100ベクレル以下の瓦れきであっても、クリーンセンターに持ち込まれる放射能の総量は変わりません。
もし試験焼却が実施されることになれば、測定範囲、測定方法、放射能の危険性など正確な情報の公開が町民の冷静な議論につながると考えます。
終わりに、試験焼却であっても放射能汚染の全国拡散になる可能性は否定できないことを申し上げ、反対討論といたします。(拍手する者あり)
36
◯議長(
坂井立朗君) 以上で石川孝一君の討論を終わります。
重ねて傍聴人に申し上げます。
立山町議会傍聴規則には、「議場における言論に対して拍手その他の方法により公然と可否を表明しないこと」となっておりますので、以後、静粛に傍聴していただきますようお願い申し上げます。
次に、
議員提出議案第7号に
賛成の方の発言を許します。
6番
後藤智文君。
〔6番
後藤智文君 登壇〕
37 ◯6番(
後藤智文君)
議員提出議案第7号
災害廃棄物の
試験焼却実施に関する決議について
賛成討論を行います。
昨年3月11日に起こった東日本大震災や原発事故は、私たちのこれまでの価値観をひっくり返すものになったと同時に、人と人とのきずなの大切さを教えてくれました。
今回の瓦れき広域処理の問題も、私たちに大震災を受けた
被災地や被災者の
支援に思いをめぐらすとき、人間として、日本人として一体何ができるのだろうかを考えさせる契機になったと思います。
4点について述べ、1つの要望をしておきます。
最初に、東日本大震災から1年と3カ月が過ぎました。現地の復興はどうなっているのでしょうか。
一般質問でも話しましたが、再訪問した岩手県山田町の課長さんの言葉を引用しますと、「何もかも先が見えない。廃棄物処理も進まない。町は10年の復興計画を立てたが、廃棄物処理が遅れた分それも遅れる」と言われました。
また、「山田町の人たちの放射線への不安はどうですか」との質問に対しては、「山田町の
住民に放射能汚染の不安が全くないわけではない。しかし、それよりもまず生きていかなければならない」と言われた課長さんの言葉が強く印象に残りました。
この災害を受けた山田町は
住民にとってふるさとであり、何とか全国の
支援を受けて復興させたいという強い願いが感じられました。この願いは、東北各県、被災を受けたところの人々の思いなのではと痛感しました。
2点目は、原発と瓦れきの違いについてです。
放射能汚染は確かに危険であり、不安でもあり、今回の福島原発の爆発については東京電力と国の責任は重大だと認識しています。原子力発電所は、「トイレなきマンション」と言われるように最終的に処理できないものであり、一たん暴れ出すと手のつけられない化け物になってしまいます。
私たちは、原発をゼロにして、自然エネルギーの開発こそ日本の発展、さらには人類の未来が開かれるのだと思います。その意味では、今回の大飯原発の再稼働にも断固反対していきます。
しかし、今回は福島県で放射能汚染された廃棄物を受け入れしようとしているわけではありません。福島原発から250キロメートル離れた場所、いわゆる富山市から名古屋市の距離に匹敵する場所の廃棄物であり、しかも廃棄物を9種類に選別し、その中の木くずだけなのです。
3点目は、
住民の不安に対してであります。
不安は2つあると思います。
1つは安全性の問題です。私たちは、核・エネルギー問題情報センター理事の
児玉一八さんを講師に招いて、放射能について学習会を開いて学んできました。放射能は自然界にも存在し、宇宙から、大地から、食物から、息をすることからも放射能を浴びていること、50キログラムの人の体内にも3,000ベクレルの放射性物質を持っていること、病院でCTスキャンを受けると6.9ミリシーベルト浴びることになることなどです。問題は、放射能の量が大事だと学びました。私たちが生きているこの自然界と同じ値以下であれば恐れることはないと考えています。
受け入れする木くずは、現地の山田町、そして
立山町や富山県がこれまで進めてきた検査の中でも、通常の世界に存在する放射能の値以下になっていますし、町の木くずと比較しても同レベルです。こうした科学的見地に立てば、被災者
支援としても重要な意味を持つものだと思います。
こんな遠いところまで運ばなくてもという
意見もありますが、隣の山形県と富山県を比較しても、JRコンテナを使えばそんなに費用は変わらないということです。
2つ目の風評被害については、町長が述べられている、「全国で処理すれば防げる」という言い方をされていましたが、6月12日付での全国の瓦れき処理の取り組みについて調べました。受け入れ表明した県は6県、検討している県は25県、北海道から沖縄まで広がっています。そして、受け入れや検討している自治体や組合などは130にも上ります。県内でも高岡市や新川地区も検討段階に入っていることを考えれば、
立山町だけがということにはならないのではないでしょうか。
4点目は、瓦れき広域処理する価値についてです。
被災してから1年3カ月以上たった今、物資や精神的な
支援も必要ですが、ふるさとの復興を願う現地の人々の希望に添いながら瓦れき処理の手伝いをすることは、私たちにできる
支援活動の一環として広域処理する価値は十分あると確信しています。その意味で、今回試験焼却をして科学的に安全と言えるものなのか確かめることを求めます。
最後に、町当局に要望しておきます。
災害廃棄物を持ってくる前のクリーンセンターにおける煙突から出る煙や灰、そして最終処分場の放射線や放射線濃度の測定、試験焼却した後の測定、さらには町の定点での測定を含め、町民が判断できる情報を操作することなく、正しいものを町民に提供されることを要望して、討論といたします。
38
◯議長(
坂井立朗君) 以上で
後藤智文君の討論を終わります。
これをもって討論を終結いたします。
採 決
39
◯議長(
坂井立朗君) これより
採決いたします。
まず、
議員提出議案第5号を
採決いたします。
議員提出議案第5号
直轄事業の継続と適正な
維持管理、
地元建設業への
支援を求め
る
意見書の
提出について
本件は
原案のとおり決することに
賛成の
諸君の
起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
40
◯議長(
坂井立朗君)
起立全員であります。よって、
議員提出議案第5号は
原案のとおり
可決されました。
次に、
議員提出議案第6号を
採決いたします。
議員提出議案第6号
北朝鮮による
拉致被害者を早急に救出するよう求める
意見書の
提出について
本件は
原案のとおり決することに
賛成の
諸君の
起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
41
◯議長(
坂井立朗君)
起立全員であります。よって、
議員提出議案第6号は
原案のとおり
可決されました。
〔14番 高嶋清光君 退場〕
42
◯議長(
坂井立朗君) 次に、
議員提出議案第7号を
採決いたします。
議員提出議案第7号
災害廃棄物の
試験焼却実施に関する決議について
本件は
原案のとおり決することに
賛成の
諸君の
起立を求めます。
〔
賛成者起立〕
43
◯議長(
坂井立朗君)
起立多数であります。よって、
議員提出議案第7号は
原案のとおり
可決されました。
〔14番 高嶋清光君 入場〕
─────────────────────────
閉会中における各常任
委員会及び議会運営
委員会
並びに各特別
委員会の所管事務の継続
審査について
44
◯議長(
坂井立朗君) 次に、
日程第3 閉会中における各常任
委員会及び議会運営
委員会並びに各特別
委員会の所管事務の継続
審査についての件を議題といたします。
本件については、
立山町議会会議規則第74条の規定により、お
手元に配付いたしました申出一覧表のとおり、閉会中の所管事務の継続
審査の申し出があります。
お諮りいたします。各
常任委員会委員長及び議会運営
委員会委員長並びに各特別
委員会委員長から申し出のとおり、閉会中の所管事務を継続
審査に付することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
45
◯議長(
坂井立朗君) ご異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
─────────────────────────
閉 議 の 宣 告
46
◯議長(
坂井立朗君) 以上をもちまして、今期定例会における
提出議案の議事がすべて終了いたしました。
今期定例会中、終始熱心にご審議いただきました議員各位に対し、また町長はじめ執行部のご協力に対し深く敬意を表するとともに、厚く御礼を申し上げる次第であります。
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町 長 の 挨 拶
47
◯議長(
坂井立朗君) 町長より挨拶の申し出がありますので、これを許可します。
町長 舟橋貴之君。
〔町長 舟橋貴之君 登壇〕
48 ◯町長(舟橋貴之君) 今月6日から始まりました6月町議会定例会が本日閉会するに当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
議員各位におかれましては、慎重にご審議をいただき、私のほうから提案いたしました専決
議案、予算案など、すべての案件につきまして、いずれも
原案どおり
可決をいただき、まことにありがとうございました。
本定例会では、一般質問に立たれた6名の議員のうち5名の方から、
災害廃棄物の広域処理に関してご質問をいただきました。この一般質問に対して正確な
答弁を期すために、あらかじめ質問通告書を
提出していただき、担当課が
答弁案をつくります。そして、町長、副町長、
総務課長等で
答弁内容を決定することとしております。
私はなるべく丁寧に説明しようと心がけたつもりでございましたが、中には、出所不明の情報に基づく発言ではないかと戸惑うこともございました。本会議での発言は、議事録に掲載されることはもとより、ケーブルテレビでこうして町民の多くの皆様がごらんになられます。
私ども政治にかかわる者は、法律や政令、責任をとれる機関が作成した資料を参考にするか、あるいは直接自分の目で、耳で確認したという事実でもって発言することが大事だなと改めて感じたところでございます。
さて、東日本大震災から1年3カ月がたちましたが、
被災地にはまだまだ多くの
災害廃棄物が残されており、復興がなかなか進んでいないように見えます。それは、国政の信頼が損なわれているからだと思います。
現在、消費税率の
改正が論議されておりますが、民主党が2009年の総選挙に当たって、16兆円を超える福祉等の財源は予算を組みかえることによって生み出すことができるという無責任なマニフェストでもって政権を獲得したことがすべての始まりではなかったのか。結果的にこれが政治不信、中央政治の不信に拍車をかけたのではないかと思っております。この際、衆議院を解散し、出直し選挙をされることが政治への信頼回復の第一歩、ひいては復興への最も早道であると私は思っております。
とは申せ、国政が十分に機能していないと嘆くだけでは何もしないのと同じであります。私どもは国を構成する日本国民の一人であります。同胞を助けたいという思いは皆さんもお持ちだろうと思います。
被災地の方々が今、同胞、同じ日本国民に対して望んでおられることは何なのか。
立山町では全国町村会の仲介のもと、岩手県野田村に技術系職員をこの4月から派遣をしております。そして、町職員が抜けた分を残った町職員がカバーしてくれています。みんながそれぞれできることを実践していくことが復興につながると信じております。
本日、町議会において議員提案による
災害廃棄物の
試験焼却実施に関する決議が
可決されました。町民を代表する議員の皆様の決議であり、私はこれを深く重く受けとめたいと思います。
この決議を踏まえ、私は富山地区広域圏事務組合の理事長であり、また焼却灰の最終処分場が存在する富山市の森市長に対し、富山地区広域圏クリーンセンターでの試験焼却の実施を検討するよう提案したいと考えております。
さて、5月31日に竣工しました
立山町
元気交流ステーションは、6月4日から
健康福祉課、
保健センター及び社会福祉協議会が業務を開始し、9日には図書館も開館いたしました。これにあわせてグランドオープニングンイベントを開催しましたところ、町内外から多くの皆様においでいただき、大盛況となりました。今後の利用者の増加に期待するものであります。
また、いよいよ
立山弥陀ヶ原・大日平の湿地がラムサール条約に登録される運びとなりました。7月7日には、ルーマニアで開かれる条約締約国会議におきまして正式決定される見込みであります。私はこの認定証授与式に参加するため、7月5日にルーマニアに向けて出発いたしたいと考えております。この機会に、世界に誇れる
立山の自然を大いにアピールしたいと考えております。
終わりになりますが、議員各位におかれましては、健康にご留意され、ますますご活躍いただきますよう心からご祈念申し上げまして、6月町議会定例会の閉会に当たってのお礼の挨拶といたします。
どうもお世話になりました。
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